COLUMN

エーミングとは、車両のカメラやレーダーなどが周囲の状況を正しく認識できるように行う調整作業です。
衝突被害軽減ブレーキなどの先進運転支援システムに関わるため、ガラスやバンパー、センサーの交換・脱着時には、車種ごとの整備要領に従って必要な作業を確認します。
整備工場では、部品交換を見積もる段階で、調整まで自社で行うか外注するかを決めます。
必要な工程が後から判明すると、外注の手配や費用・納期の再説明が生じるためです。
この記事では、エーミングの仕組み、作業が必要になる場面、特定整備との関係、受付から納車までの確認事項を説明します。
制度の確認時点は2026年10月18日です。

先進運転支援システム(ADAS)は、カメラやレーダーなどで取得した情報を使い、前方の車両や車線などを認識します。衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援などが代表例です。
取り付け位置や角度が変わると、車両が想定する位置関係と、センサーが認識する位置関係にずれが生じるおそれがあります。
エーミングでは、ターゲットと呼ばれる目標物を使う方法や、所定の条件で走行する方法で、カメラ・レーダー等を調整します。
車両が前方の物体や車線を認識するための基準を合わせる作業で、「校正」「キャリブレーション」と表現されることもあります。
調整方法と完了の判定は、メーカーの整備要領に従います。同じメーカーの車でも、車種・装備・修理内容によって手順が異なります。
エーミング、故障診断、OBD検査はいずれも電子制御装置に関係しますが、実施する目的が異なります。
| 作業・検査 | 主な目的 |
|---|---|
| 故障診断 | 故障コードや各種データなどを使って不具合の原因を調べる |
| エーミング | カメラ・レーダーなどの認識をメーカー指定の方法で調整する |
| OBD検査 | 車検時に、保安基準不適合となる特定DTCなどを確認する |
OBD検査の適合判定は、必要なエーミングの実施を証明するものではありません。修理に伴う調整はメーカーの整備要領で確認し、車検時のOBD検査と別の工程として管理します。

前方を監視するカメラが取り付けられた窓ガラスの交換・脱着は、確認が必要な代表例です。
国交省の特定整備制度の問答でも、対象車両のカメラ等が取り付けられた窓ガラスを脱着した場合は、その後のエーミングが必要と説明されています。
ガラス交換を外部業者へ依頼するときは、見積りに交換後のエーミングと完了確認まで含まれるかを確認します。
交換のみの依頼なら、調整を担当する工場と日程を先に決め、必要な工程が終わったことを確認してから納車します。
レーダー、カメラ、その取り付けに関わるバンパー・グリルなどを交換・脱着する場合も、対象装置と整備要領を確認します。
バンパーを外した場合の取扱いは、センサーの有無や取り付け構造、車両仕様によって異なります。車台番号等から対象車を特定して、今回外す部品に必要な調整を確認してください。
事故修理では、センサー単体だけでなく、車体の修正や関連部品の作業が調整条件に影響することがあります。
何を行ったら再調整が必要になるかは、メーカーの整備要領で確認します。
見積り段階では、損傷した部品だけでなく、修理のために外す部品、復元後に必要になる調整も洗い出します。
これにより、最初の説明と実際の作業に差が生じた際にも、追加理由を説明しやすくなります。

受付では、車名だけでなく、型式、車台番号、年式、装備、交換・脱着する部位を確認します。同じ車名でも装備や仕様によって対象装置や手順が異なるためです。
確認は、次の二つに分けると整理しやすくなります。
・法令上、電子制御装置整備の対象車両・対象作業に該当するか。
・今回の修理に対し、メーカーの整備要領がどの調整・確認を求めているか。
国交省のメーカー別リンクで電子制御装置整備の対象車両を調べ、メーカーの整備要領で今回の修理に必要な調整を確認します。法令上の対象範囲と、車種別の修理手順の二段階で調べる方法です。
法令上の対象外であっても、メーカーが調整を指定していれば、その作業は修理計画に含めます。受付担当者は、判断が必要な車両情報と修理内容を技術担当者へ渡してください。
警告灯の状態や故障コードは確認材料になりますが、メーカーが作業後に調整を求めているかどうかとは分けて確認します。
「警告灯が点かない」「走行した感じに違和感がない」だけで、必要な手順が完了したとは判断できません。
依頼者へは、交換した部品と調整の関係を具体的に説明します。
例えば、カメラ付きガラスの交換なら、ガラスの交換に加えてカメラの認識を調整する工程が必要であることを、見積り段階で伝えておくと追加請求への疑問を減らせます。

エーミングには、車両を停止させてターゲットなどを使う方法と、所定の条件で走行して調整する方法があります。どちらを行うかはメーカーの指定に従います。
| 種類 | 主な方法 | 準備で確認すること |
|---|---|---|
| 静的エーミング | 停止状態でターゲット等との位置関係を使って調整 | 作業スペース、車両状態、ターゲット、測定機器 |
| 動的エーミング | 指定された走行条件で調整 | 実施条件、安全に走行できる環境、完了条件 |
| 両方を行う場合 | 車種の指定に従って両方を実施 | 作業順序と各工程の実施条件 |
動的エーミングでは、道路・天候・交通状況などがメーカーの指定条件に合うかを確認します。条件がそろわない場合の再実施も見込み、納期に余裕を持たせます。
国交省の講習テキストでは、ターゲット等の設置を必要としない「動的エーミングのみ」の作業は、特定整備の対象外とされています。
一方、対象カメラの交換や、それに伴う電子制御ユニット(ECU)の機能調整等は特定整備に当たります。認証の要否は、走行調整の方法だけでなく、その前後に行う作業まで含めて判断します。
出典:国土交通省 電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習テキスト 8頁

電子制御装置整備を事業として行う場合は、その範囲の認証が必要です。
従来の分解整備の認証を受けているだけで、電子制御装置整備も実施できるとは限りません。一定の既存作業に対する経過措置は2024年3月31日に終了しています。
国交省の問答では、認証要件として少なくとも1車種以上を整備できるスキャンツールを1台保有し、ターゲットは必要時に入手できる体制を持つとされています。
ターゲットの共同保有や借用も認められています。
内製化の計画では、実際に入庫する車種について、使用するスキャンツールの機能、ターゲット、作業場の条件を照合します。
車種への対応は、カタログに車名が載っているかだけでなく、今回必要な装置の調整までできるかで判断してください。
電子制御装置整備のみを行う場合、一級小型自動車整備士のほか、一級二輪・二級の自動車整備士、自動車車体整備士、自動車電気装置整備士で所定の講習を修了した人などが整備主任者の候補になります。
一級小型自動車整備士は、この資格取得講習を免除されます。
分解整備も行う事業場では資格要件の組み合わせが異なるため、行う整備の範囲と資格証を照合します。
講習を受けた個人が在籍することと、事業場として認証を受けていることは別の確認事項です。
採用する整備士の受講歴だけで対応可能とせず、管轄支局に申請・選任の条件を確認してください。
出典:国土交通省 自動車特定整備事業について、特定整備制度に関するよくある質問・問答、東北運輸局 認証基準・関係法令
以下は工程管理のための流れです。
実際の調整値、設置寸法、操作手順は車種ごとの整備要領に従ってください。
車両情報、装備、損傷箇所、交換・脱着する部品を照合し、必要な整備要領を確認します。
分解後に追加の損傷が見つかった場合は、最初に決めた調整範囲も見直します。
自社で行う場合は、車両に対応した機器と作業条件を確保します。
外注の場合は、対応車種、認証範囲、受入日、車両の運搬、結果報告・記録簿の受け渡しまで決めます。
予約枠だけを確保しても、交換部品の入荷が遅れれば外注日程は変わります。
部品の納期と調整工程を一緒に管理してください。
調整前に、車両状態と作業環境を整備要領に合わせます。
確認する例は、タイヤ空気圧・車高、アライメントの状態、床面、明るさ、周囲の反射物、ターゲットの設置位置です。
必要な条件や寸法は車種ごとに異なるため、他車の設定を流用せず、その車両の要領書で照合します。
調整が完了しない場合は、スキャンツールの表示内容を確認し、車両・機器・設置環境を整備要領と照合します。
原因を特定して必要な修正を行い、メーカーが定める方法で再実施してください。条件が合わないまま作業を繰り返したり、未完了の状態で納車したりしない運用が必要です。
出典:国土交通省 電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習テキスト 42頁
メーカーが定める完了条件を満たしたことを確認します。
社内の作業報告には、対象車両・装置、実施日、作業内容、完了結果を残すと、納車時に照合しやすくなります。
特定整備に該当する作業では、これに加えて特定整備記録簿を作成し、使用者へ写しを交付して保存します。
外注した場合は、車両情報、実施した調整、完了日と受領書類を照合します。
電子制御装置整備の全部を別工場に委託する場合と、交換・調整の一部だけを委託する場合では、記録の担当が異なります。
指定工場が保安基準適合証を交付する場合は、一部外注等の条件も確認してください。

エーミング料金は、対象装置、調整方法、準備・確認作業、外注の有無によって変わります。
まず整備要領から必要工程を洗い出し、作業時間、機器の使用、運搬などの費用を見積もります。
見積りでは、次のように工程を分けて確認すると計上漏れを見つけやすくなります。
| 確認する工程 | 見積りでの確認内容 |
|---|---|
| 事前確認・診断 | 対象装置の確認や診断を、どの項目に含めるか |
| 準備・調整 | 必要な前工程、機器設置、調整作業の範囲 |
| 作業後の確認 | 診断・確認走行など、メーカーが求める完了確認 |
| 外注・運搬 | 外注先の作業範囲、引取り・持込み等の負担 |
各工程を基本料金に含めるか、追加料金にするかを料金表に明記します。外注する場合は、外注先の見積りに含まれる作業と、自社で行う診断・運搬・完了確認を照合してください。
事故車修理では、部品交換の費用だけで見積りを組まず、交換に伴う調整・確認の有無まで確認します。
株式会社トランターの「コグニセブン」は、部品選択や工賃計算、見積書作成を支援する事故車修理費見積りシステムです。
車両ごとの必要作業は整備要領で確認し、見積りへ反映する運用と組み合わせて活用します。

車両の装備、センサーの取り付け構造、作業内容によって判断します。
法令上の対象確認に加えてメーカーの整備要領を確認し、バンパー脱着という作業名だけで一律に決めないようにします。
警告灯の状態だけでは決められません。
交換・脱着した部品に対してメーカーが調整を求める場合は、その手順を実施します。
電子制御装置整備に該当する作業を事業として行うには、認証への対応が必要です。
機器の対応車種に加え、人員、作業場、情報入手、結果の記録まで準備します。
準備する機器、対象装置、調整方法、前後の点検によって変わります。
外注する場合は調整時間のほかに運搬・待ち時間も含め、依頼者には入庫から納車までの予定を説明してください。

エーミングの要否は、対象車両と修理内容、メーカーの整備要領を照合して判断します。
受付時に必要な作業を確認し、自社で行うか外注するか、費用と納期、記録の受け渡しまで決めることで、修理後に追加工程が判明する場面を減らせます。
鈑金・事故車修理の見積り業務を見直したい方は、 コグニセブンの詳細をご覧ください。 導入については、トランターへお問い合わせください。 |