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自研センターの指数とは?修理工賃の決まり方・前提条件・計上漏れの防ぎ方と2026年の動向

 

「協定のたびに指数の話になるが、根拠をうまく説明できない」「指数の時間では作業が終わらないのに、どう交渉すればよいか分からない」。

 

事故車の修理を扱う鈑金塗装工場や整備工場では、こうした悩みが少なくありません。

 

事故車の修理を自動車保険で行う場合、修理工賃は一般に「指数×指数対応単価」で算定されます。

 

この「指数」を作成しているのが、株式会社自研センターです。

 

指数の仕組みや前提条件を正しく理解しておくことは、見積りの計上漏れを防ぎ、損害保険会社との協定を円滑に進めるための土台になります。

 

この記事では、指数の成り立ちから工賃の決まり方、前提条件、計上漏れが起きやすい項目、2026年の動向までを、工場の実務の視点で解説します。

自研センターの指数とは

 

自研センターの指数とは、事故車修理における標準的な修理作業時間を示したものです。

 

株式会社自研センターは、1973年に「株式会社自動車保険研修センター」として設立された、損害保険会社が出資する会社で、1974年から標準作業時間の策定に取り組んできました。

 

現在は、主要な国産車・輸入車の構造調査と、修理作業の実態調査にもとづいて指数を作成しています。

 

損害保険会社と車体整備事業者の双方が、修理費の見積りや協定の際の共通の目安として使っています。

指数の成り立ち(標準作業時間と基表方式)

指数は「基表方式」と呼ばれる方法で作成されています。

 

基表方式とは、修理作業を最小単位の作業に分け、その作業ごとに算出した単位時間(基表値)を組み合わせて、作業全体の標準時間を求める方法です。

 

たとえば、ある部品の脱着・取替であれば、ボルトの取り外し、部品の取り外し、取り付けといった細かな作業の単位時間を積み上げて、その作業の指数が決まります。

 

部品の構造が車種によって異なるため、脱着・取替などの指数は車種ごとに作成されます。

 

指数には、実作業の時間のほか、一定の準備時間や余裕時間も含まれています。

 

また、同時に行うことが一般的な作業では、重複して計上しないよう、準備作業やリフトアップなどの付帯作業を主な部品の指数にまとめて設定している場合があります。

 

そのため、ある部品を単独で作業する場合は、付属品の脱着などを別途計上する必要が生じることがあります。

指数は「金額」ではなく「時間の目安」

指数は、あくまで標準的な作業時間の目安であり、金額そのものではありません。

 

また、自研センター自身も、実際の作業時間は車両の状態や使用する工具などによって異なるとしています。

 

そのため、指数は「この時間で必ず作業が終わる」という保証ではなく、一定の前提条件のもとでの標準値として理解する必要があります。

修理工賃はどう決まるのか(指数×指数対応単価)

 

保険修理における修理工賃は、一般に次の式で算定されます。

 
修理工賃の基本式

修理工賃 = 指数 × 指数対応単価(例:指数1.5=1時間30分)

指数:自研センターが作成する標準的な作業時間の目安(作業ごと・車種ごと)
指数対応単価:指数(単位は時間)に掛ける1時間あたりの工賃。

工場と損害保険会社の交渉で決まるのが一般的で、自研センターは単価の設定には関わっていない

 

ポイントは、指数は全国共通の目安である一方、指数対応単価は工場ごとに損害保険会社との協議で決まることです。同じ作業でも工場によって工賃が異なるのはこのためです。

指数対応単価とは

指数対応単価は、指数に掛ける1時間あたりの工賃で、一般整備でいう時間あたり工賃(レバーレート)に近い考え方です。

 

国土交通省も、指数対応単価を「損害保険会社と事業者が交渉して決定する1時間当たりの工賃」と説明しています。

 

一般整備のレバーレートは工場が自ら設定するのに対し、保険修理の指数対応単価は損害保険会社との話し合いで決まるのが一般的という違いがあります。

 

事故車修理の見積りに使うソフトの選び方は、鈑金見積りソフトおすすめ4選で比較しています。

単価の妥当性をどう説明するか

指数対応単価の交渉では、「なぜその単価が必要なのか」を根拠をもって説明することが大切です。

 

国土交通省が2025年3月に取りまとめた「車体整備事業者による適切な価格交渉を促進するための指針」では、工賃単価の設定にあたって、消費者物価指数だけでなく、人件費、電気代、塗料や副資材などの材料費の上昇率も考慮することが示されています。

 

単価の根拠として整理しておきたい主な要素は次のとおりです。

 

・人件費:技術者の賃金水準、賃上げの実績と計画

 

・設備費:塗装ブース、フレーム修正機、スキャンツールなどの投資と維持費

 

・資格者・技能:有資格者の配置、研修にかかる費用

 

・作業品質:品質管理の体制、保証の内容

 

・間接コスト:光熱費、事務・管理にかかる費用

 

同指針では、自社の費用構造を分析したうえで、人件費の上昇を示す根拠として最低賃金の上昇率や春季労使交渉の妥結額などを参考にするよう示しています。

 

一方で、設備投資費や光熱水費は単純に上乗せせず「事故車修理の費用」として妥当な範囲を検討すること、車検や車両販売などほかの事業の費用まで転嫁しないこと、同業者の間で単価を共同で取り決めないこと(独占禁止法上の問題となる)にも留意が必要です。

 

また同指針では、損害保険会社の不合理な説明(「アジャスターには決定権がない」「地域相場で決まっている」など)によって交渉が進まない場合は、国土交通省が設置する窓口へ情報提供することが示されています(窓口は個別のトラブル処理や調査には対応せず、寄せられた情報は施策の参考とされます)。

 

争点が明らかになってから一般に1週間以内に進展が見込めない場合は、依頼者に、損害保険会社が提示する保険金の範囲では修理できない旨と自社の修理内容・見積りを説明し、判断を求めることとされています。

 

国の施策の詳細は、国土交通省から修理代金に関わる施策が発表されましたでも紹介しています。

指数の種類と適用範囲

 

自研センターの指数には、次の5種類があります。

 
指数の種類対象となる作業作成単位
脱着・取替指数損傷部品の脱着・取替作業車種別
補修塗装指数外板パネルなどの補修塗装作業車種別
運転支援システム再設定・調整指数センサーの脱着・取替などに伴う再設定・調整作業車種別
外板板金修正指数外板パネルの板金(修正)作業車種共通
内板骨格修正指数フレーム修正機を使った乗用車の骨格寸法の復元作業車種共通

車種別に作成される指数と車種共通の指数

脱着・取替、補修塗装、運転支援システム再設定・調整の3つは、車両の構造によって作業内容が変わるため、車種ごとに作成されています。

 

一方、外板板金修正と内板骨格修正は、車種共通で作成されている指数です。

 

車種別の指数は新型車の発売後に順次作成されるため、対象車両の型式に対応した指数があるかを確認することが基本です。

指数の「前提条件」を外すと見積りは崩れる

 

指数は、一定の前提条件のもとで作成されています。この前提を知らないまま指数を当てはめると、実際の作業とのずれが生じ、工場が負担をかぶることになりかねません。

 

自研センターが示している前提条件は次のとおりです。

 
前提条件内容
車両1〜2年使用し、走行距離2〜3万km程度で、汚れや錆付きが軽度な状態の車両
工場(設備)認証工場の設備基準を満たす機械設備に加え、スポット・アーク・ガスの各溶接機と簡易ボデー修正機を備えた一般的な整備工場(運転支援システム再設定・調整指数は、自動車メーカー指定または推奨の作業環境・機器・工具を備えた工場)
作業者実務経験3年程度の技能者(補修塗装は実務経験5年または金属塗装技能検定2級程度)
部品パーツカタログに記載された、原則としてメーカー出荷状態の損傷のない部品
作業方法安全、合理的かつ経済的で、車両の機能と、損傷の程度に応じた品質に配慮した修理方法

車両側の前提条件

指数は、使用年数が浅く、汚れや錆が軽い車両を前提にしています。

 

そのため、年式が古い車両や、ボルトの腐食・固着が進んだ車両では、指数の時間内に作業が終わらないことがあります。

 

国土交通省の指針でも、ボルトの腐食など標準的な指数で想定されない作業条件がある場合は、実際の作業時間を客観的に示して、その時間に応じた価格を請求することが示されています。

 

マスキングなど指数に含まれるとされる付随作業でも、本作業と同等以上の時間を要する場合は、指数に含めることが妥当か検討するよう求めています。

 

さらに、前提条件を満たしてもなお作業時間と著しく乖離する指数がある場合は、自研センターまたは国土交通省の情報提供窓口に、車名・型式、作業内容、乖離の理由などの具体的な情報を提供することとされています。

 

一方で同指針は、指数に準備・余裕時間が含まれていることを踏まえ、著しく乖離する場合は技術レベルや作業場の整理整頓など、自社の生産性向上の必要性も検討するよう求めています。

 

また、運転支援システム再設定・調整指数は、事故車の復元修理が完了し、完成検査を行う前の車両を前提としています。

 

再設定・調整は、復元修理を行ったエリアと同じ敷地内の作業エリアで、原則としてメーカー指定・推奨の工具を使い、修理書の手順に沿って行うことが前提です。

 

外注先への陸送費などは指数の対象外です。

工場設備側の前提条件

前提と異なる設備で作業する場合や、特殊な工具が必要になる場合は、その点を見積りの根拠として説明できるようにしておく必要があります。

内板骨格修正指数の適用条件

内板骨格修正指数は、フレーム修正機を使って乗用車の骨格の寸法を復元する作業に適用されます。

 

前提となるのは、車両を4点で固定し、多点で引くことができる修正機を備えた工場です。

 

適用条件を満たしていることを、見積りの根拠として説明できるようにしておきましょう。

指数テーブルマニュアルとは

 

指数の使い方は、コグニビジョン株式会社が発行する「指数テーブルマニュアル」に記載されています。

 

どの作業にどの指数を適用するか、作業に含まれる範囲・含まれない範囲、組み合わせのルールなどを確認するための資料です。

 

指数は改定や追加が続いているため、手元の資料や見積りシステムのデータが最新の状態かを確認することが大切です。

 

自研センターも2025年からホームページで「指数Q&A」や指数の変更情報の掲載を拡充しており、「自研センターニュース」も無償で公開しています。

計上漏れ・二重計上が起きやすい項目

 

工場の収益に直結するのが、計上漏れと二重計上です。

運転支援システム再設定・調整指数

運転支援システム再設定・調整指数は、センサーの脱着・取替や、センサーが取り付けられた部位の修理を行った際に発生する再設定・調整作業に適用されます。

 

自研センターは2021年10月に作成を始め、普及率の高い前方カメラ、超音波センサー、前方レーダーの3つから提供を始めました。

 

この指数は、準備・片付けなどの前提作業を含む「基本作業指数」と、センサーごとの計測・調整作業を含む「センサ別再設定・調整作業指数」を組み合わせて使います。

 

複数のセンサーの指数を組み合わせる場合、前提作業に同じ基本作業が含まれていても、重複して計上せず1回だけ使うのがルールです。

 

バンパーやフロントガラスの修理に付随して発生するため、見積りの段階で見落とされやすい作業でもあります。

 

エーミングの料金や計上の考え方は、エーミングの料金相場と決め方で詳しく解説しています。

含まれる作業/除く作業の切り分け

指数には、それぞれ「含まれる作業」と「除かれる作業」が定められており、その内容は車種・センサーごとに指数テーブルに記載されています。

 

たとえばホンダ フィット(GR系)の運転支援システム再設定・調整指数では、基本作業にタイヤ空気圧の調整や作業エリアへの移動が、スキャンツール接続作業に故障コード(DTC)の確認・消去が含まれる一方、マルチパーパスカメラユニットのアップデートは除かれる作業とされています。

 

また、走行による再設定・調整のように、当初は除かれていた作業が後から指数に加えられた例もあり、扱いは変わることがあります。

 

判断が分かれやすい項目は指数テーブルマニュアルで確認し、含まれない作業を行った場合は内容と時間を記録して別途計上の根拠にします。

 

逆に、含まれている作業を別に計上すると二重計上となり、協定での信頼を損ねます。

指数に含まれないもの(自研センターの指数Q&Aより)

・工具類・消耗品・塗料などの材料費、産業廃棄物の処理費用(指数は作業時間のみ)

 

・部品を取り付ける相手部位の、損傷による変形の粗出し・板金修正

 

・新品パネル裏面のプラサフ工程

 

・車検ステッカーの貼付け、リヤライセンスプレートの封印

 

・外注先への陸送費・レッカー費

 

また、ミリ波レーダの透過部などでメーカーが既存塗膜の上からの塗装を禁止している樹脂バンパには、補修塗装指数が作成されていない車種があります。

 

国土交通省の指針が示す見積書の標準様式には、コーディング、高電圧回路遮断、エーミング、実走行テストなどの付随作業や、廃棄物処理などの諸費用の欄があり、計上漏れのチェックリストとしても使えます。

見積り作成時のチェックポイント

見積りを作成するたびに、次の点を確認する習慣をつけておくと効果的です。

 

・対象車両の型式に合った、最新の指数データを使っているか

 

・センサーの脱着・取替や、センサーが付いた部位の修理がある場合に、再設定・調整の指数を計上しているか

 

・複数のセンサーの指数を組み合わせる際に、基本作業指数を重複して計上していないか

 

・指数に含まれない作業(アップデートなど)を行った場合に、その内容と時間を別途記載しているか

 

・錆や固着など、前提条件と異なる事情がある場合に、写真や作業記録で根拠を残しているか

 

2026年の動向|指数の見直しと情報公開の広がり

 

2026年は、指数をめぐる大きな動きが相次ぎました。時系列で整理します。

 
時期主な動き
2026年5月以降自研センターが、脱着・取替指数のうち溶接系(溶接を伴う骨格部品が中心)の作業の前提を最新化し、新型車の指数から順に反映(3月31日に予告。指数体系そのものは変更なし)
2026年6月11日自研センターが、指数の信頼性・透明性を高めるための6項目の取り組みを公表
2026年6月24日国土交通省が「事故車修理の標準作業時間 調査結果」を公表。あわせて、指数の時間内に終わらない場合は損害保険会社と個別に交渉し、不合理な説明で進まない場合は情報提供窓口に連絡するよう事業者に周知する方針を示す
2026年夏〜9月国土交通省が、車体整備業界に特化した初めての基礎統計調査を実施(回答受付は2026年9月30日で終了)
今後国土交通省・自研センター・損害保険会社・車体整備事業者の対話を実施予定。標準作業時間の調査は2026年度以降も継続

脱着・取替指数の見直し(2026年5月以降)

見直しの主な中身は、外観から見えない部位の切継ぎ部・パテの仕上げ品質基準の引き上げ、溶接パネルやルーフボウの固定・計測作業の精緻化、溶接時のヒューム集塵機の使用を前提とした準備作業の追加などです。

 

反映は新型車の指数からのため、既存車種の指数が一斉に変わるわけではありません。

自研センターの6項目の取り組み

6月11日に自研センターが公表した取り組みは、指数作成の独立性・客観性の確保、お客様相談室に寄せられる声の技術検証への活用、2000年以降続けている年間約10工場への訪問調査、外部の有識者からの意見聴取、2024年4月に立ち上げた社内横断の「指数作成のあり方見直しプロジェクト」、2026年3月に社外メンバーを加えて始めた透明性確保のさらなる検討(情報開示の充実やガバナンス強化を議論中)の6項目です。

 

あわせて、2026年1月から、お客様相談室に寄せられた損害保険会社の指数利用に関わる声を、日本損害保険協会を通じて各損害保険会社に提供する取り組みも示されました。

国土交通省の標準作業時間調査

国土交通省の調査は、「自研指数の時間では完了できない作業がある」という車体整備事業者の声を受け、第三者の立場から行われたものです。

 

世界の自動車メーカーから標準作業時間の策定を請け負うドイツのCAB社に、国土交通省が本調査用の標準作業時間(CAB工数)の策定を依頼し、トヨタ ヤリス、レクサス IS300h、レクサス NX450h+ の3車種の特定の作業で自研指数と比較しました。

 

なお、CAB工数は車両状態や作業者の経験年数などに一定の条件を置かずに実測をもとに策定されており、前提条件を置いて作成する自研指数とは考え方が異なります。

 

その結果、板金作業(この調査では脱着・取替作業が対象)ではCAB工数が自研指数より長くなる傾向がみられ、塗装作業は板金作業に比べて差が小さい傾向でしたが、比較した27項目のうち25項目ではCAB工数が自研指数を上回りました。

 

ただし国土交通省は、この調査は自研指数の妥当性の否定や優劣の決定を目的としたものではなく、限られた車種・作業の比較にもとづく参考値であるため、個別の事案で作業時間の妥当性を裏付ける資料として用いることは適当ではないとしています。

 

調査結果を根拠に「自研指数の○○%増」といった修理費の提示や交渉をするのではなく、透明性をもって作業時間の妥当性を説明するよう求めています。

 

この結果に対し、自研センターは同日に見解を公表しました。

 

作業範囲や前提条件が一部一致していない可能性があるとし、内訳を確認できたヤリスのエキゾーストテールパイプ取替では、準備作業や付帯作業(自研指数ではリヤバンパなど別の部品の側に含めている作業)をそろえると両者とも0.4時間で差がなくなりました(国土交通省の別紙にも記載)。

 

ほかの作業は、今後国土交通省などと内訳を確認して分析するとしています。一方、日本自動車車体整備協同組合連合会は、国の調査を高く評価したうえで、指数の内訳が調査で指摘されて初めて示されたことに強い違和感を表明し、2025年度に独自に行った補修塗装作業工数の実測調査と比べても、現場の実態と指数には大きな乖離があるとして、情報開示と適正な作業時間への是正を求めています。

 

最新の動きは、国土交通省から「事故車修理の標準作業時間 調査結果について」が発表されましたでも紹介しています。

車体整備に特化した国の統計調査

国土交通省は2026年度から、車体整備業界に特化した初めての統計調査「自動車車体整備業界の基礎統計調査」を始めました。

 

車体整備業界の全事業者・事業場(取次を含む)を対象とする全数調査で、所属団体や利用している業務システムなどを通じてWeb形式の回答が案内されました。

 

回答受付は延長後の期限である2026年9月30日に終了しています。

 

国土交通省の実施方針報告書では11月ごろに照会・公表するスケジュールが示されていますが、期限の延長で前後する可能性があります。

 

報道によれば、2027年度以降も継続される予定です。主な調査項目は次のとおりです。

 

・設備の稼働状況(塗装・計測設備、スキャンツールなど)と、今後5年以内の投資意向

 

・労働環境(労働時間、賃上げの意向、外国人の工員の就労状況など)

 

・価格交渉(保険修理における指数対応単価の決め方、損害保険会社との価格交渉の頻度など)

 

・経営の持続性(材料費・光熱費などのコスト、後継者の有無、事業の多角化など)

 

指数対応単価の交渉状況が国の統計として明らかになれば、今後の単価交渉にも影響する可能性があります。

工場として押さえておきたいこと

これらの動きは、指数がすぐに一律で変わることを意味するものではありません。

 

工場にとっては、「指数の時間を超えた理由」を客観的に示せるかどうかが、これまで以上に重要になります。

協定業務を安定させるために工場ができること

指数をめぐる環境が変わるなかで、協定業務を安定させるために、工場が取り組めることは次の3つです。

 

・見積りの根拠を残す:適用した指数、作業の内容、指数に含まれない作業の内容と時間を記録する

 

・前提条件との違いを記録する:錆や固着、特殊な工具の使用など、前提から外れた事情を写真や作業記録で残す

 

・担当者による差をなくす:見積りの作り方や指数の適用ルールを社内でそろえ、誰が作っても同じ品質の見積りになるようにする

 

見積りが特定の担当者の経験に頼っていると、担当者によって計上漏れの有無や協定の結果にばらつきが出ます。

 

見積りの精度は仕組みで担保する|事故車・鈑金見積りソフト「コグニセブン」

コグニビジョン株式会社が開発し、トランターが販売・導入支援を行う
「コグニセブン」は、事故車・鈑金修理の見積りを作成するためのソフトです。

部品を選ぶと指数にもとづく工賃が計算され、
運転支援システム再設定・調整指数が収録されている車種であれば、
見積り画面の【再設定】から指数を選んで計上できます。

担当者の経験に頼らず、指数の適用漏れを防ぎ、
根拠を説明しやすい見積りづくりを支えます。

 

よくある質問(FAQ)

Q. 自研センターの指数とは何ですか?

A. 事故車修理における標準的な修理作業時間を示したもので、株式会社自研センターが構造調査と実態調査にもとづいて作成しています。

 

修理工賃は一般に、指数に指数対応単価を掛けて算定されます。

Q. 指数とレバーレートの違いは何ですか?

A. 指数は作業にかかる標準的な時間の目安で、レバーレートは時間あたりの工賃(単価)です。保険修理では、指数に「指数対応単価」を掛けて工賃を算定します。

 

一般整備のレバーレートは工場が設定し、指数対応単価は損害保険会社との話し合いで決まるのが一般的です。

Q. 指数対応単価はどのように決まりますか?

A. 工場と損害保険会社の交渉によって決まるのが一般的で、自研センターは単価の設定には関わっていません。

 

国土交通省の指針では、人件費や電気代、材料費の上昇率なども考慮して工賃単価を設定することが示されています。

Q. 指数の時間内に作業が終わらない場合はどうすればよいですか?

A. 錆や固着など、指数の前提条件と異なる事情がある場合は、実際の作業時間を客観的に示して損害保険会社と個別に交渉します。

 

国土交通省も、標準作業時間で作業が終わらない場合は個別に交渉するよう周知するとしています。

Q. 輸入車にも指数はありますか?

A. 自研センターは主要な国産車・輸入車を対象に構造調査を行い、指数を作成しています。

 

対象車種は見積りシステムや自研センターの情報で確認してください。

Q. 指数の改定はどこで確認できますか?

A. 自研センターのホームページや、指数を搭載した見積りシステムの更新情報で確認できます。

 

2026年5月以降は、脱着・取替指数の見直しが新型車の指数から順に反映されています。

Q. 国土交通省の調査結果を使って、指数より長い作業時間を請求できますか?

A. 国土交通省は、この調査結果を個別の事案で作業時間の妥当性を裏付ける資料として用いることは適当ではなく、「自研指数の○○%増」といった提示や交渉の根拠にするものでもないとしています。

 

個別の交渉では、自社の作業記録などにもとづいて、実際の作業時間を客観的に示すことが基本です。

まとめ

 

修理工賃は「指数×指数対応単価」で決まり、指数には前提条件があります。

 

前提と異なる事情は根拠を示して交渉し、2026年に相次いだ見直しや国の調査の動きも確認し続けることが大切です。

 

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参考資料